2014年10月 Archives

本日の1冊: 詐欺の帝王

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詐欺の帝王 (文春新書)詐欺の帝王 (文春新書)
溝口 敦

文藝春秋 2014-06-20
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オレオレ詐欺(振り込め詐欺)の頂点にいた人物へ取材を元に、システム金融からオレオレ詐欺へ変遷した歴史、詐欺に関わる人物の素性に迫る。

本書を読んで何よりびっくりしたのは、オレオレ詐欺の頂点に立つ人物が如何に優秀かということ。決して思いつきや暴力だけで成り立っていない、むしろそれらは全く使っていないと言うこと。知識有り、カリスマ有り、論理的に考え、行動している。例えば被害にあう人物の分析に対しては、ノーベル経済学賞のダニエル・カーネマンの理論を理解した上で実践している。---だからこそ、多くの人が多額に騙され、警察に捕まるのは末端だけで決して全容に迫れないのだろう。感想は憎しみや怒り(自分や身近が被害にあっていないというのもあるが)という感情よりも、才能が勿体ないの一言に尽きる。 いる
ザ・コーチ - 最高の自分に出会える『目標の達人ノート』ザ・コーチ - 最高の自分に出会える『目標の達人ノート』
谷口 貴彦

プレジデント社 2009-12-10
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目標とは?目的とは?ゴールとは?夢とは?よく使うが、具体的に理解・イメージできているだろうか。本書ほど明確にこれらを明示した本は今までなかった。”朝令暮改で目標が変わる”、”目標なんか立てても意味が無い”、などなど社会人なら一度は聞いたことある(あるいは言ったことある?)と思うが、これらは、目標なんて変わるのが当然、目標だけ立てても意味が無いということとが理解できていない故だろう。

冴えない営業マンが、とある老人とのプライベートレッスンを通じて人生を取り戻す・・・一見良くあるストーリーではあるが、もし上記をはっきりと、小学生にも分かるように説明できなかったら、絶対にこの本を読んでみることを薦めたい。

僕は君たちに武器を配りたい僕は君たちに武器を配りたい
瀧本 哲史

講談社 2011-09-22
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日本は最も成功した社会主義と言われたりもするが、これから本格的な資本主義、特にグローバル経済に移行していく中で、どのような人が生き残れるか、問題提起する。

ITや英語などを必死になってもコモディティにしかなれないこと、専業主婦や住宅ローンなどを安易に選択する無謀さ、若者の就職ランキング上位企業が年月を経てどうなるか、などなど考えなしに”普通”や”みんなやっている”ことに警笛を鳴らす。その上で、今後生き残るタイプを6タイプ(その内、2タイプは将来性がないとも)を提示する。

本の内容は即効性のあるものではなく、あくまでも意識を変えるきっかけに過ぎない。”武器”というよりは”地図”や”ガイド”という、抽象的な印象を受けた。同じ著者では、「君に友だちはいらない」の方がメッセージ性を感じる。
決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)
半藤 一利

文藝春秋 2006-07
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広島、長崎を経て終戦へ向けた議論、天皇の降伏聖断。そして8月14日から15日正午の玉音放送までの緊迫した24時間を克明に(一部、史料が不十分な箇所はその旨明記有り)記す。

戦争継続派によって起こされたクーデターによって皇居を占拠されるも、ちょっとしたきっかけから玉音放送を録音したテープリールを奪われなかった偶然によって、承知の通り無事に終戦放送に至る。実は終戦も、ぎりぎりの状況でなしえた奇跡と知る。

国の存続のために降伏を決意した天皇、指導者。同じく国を憂い、降伏を翻そうとクーデターを起こした青年将校、敗戦の責任を感じて自害する阿南陸相。手段や結論としての正しさは別として、共通するのは、登場人物の日本を強く想う気持ちに、心揺さぶられる。
9割の人が間違った買い物をしている 成功している男の服選びの秘訣40 (講談社の実用BOOK)9割の人が間違った買い物をしている 成功している男の服選びの秘訣40 (講談社の実用BOOK)
宮崎 俊一

講談社 2012-12-14
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ゴルフウェアやルームウェア、Tシャツなどを着た冴えない装いを脱出するための、休日の服選びに関する1冊。著者は銀座松屋の人なので紹介される商品もそちらのものが多いけれど、基本的な主張は流行ものを追わずに万能アイテムというベーシックで良いものを数年かけて揃えようというコンセプトであり、決してお金をかけるということではないのが、好感が持てる。

チェックや柄物は非常に難しいので、白のシャツやチノパンが中心というのは、ファッション系の本としては非常に意外だった。カジュアルというと多くの人がいきなり全てを崩すからおかしい、ビジネスの装いで一部(シャツをビズポロに、またはパンツをチノパンに、など)をカジュアルにするというのは、写真を見るとなるほどという印象。また、40を過ぎたらTシャツを着ないと言うのも、汚らしく見えないようにするため理解しつつ、堅苦しいのが苦手な身としては少し難しく感じる。

サイズ感や色、コーディネートなどポイントから全体感まで幅広く書かれており、参考になることは多い。
優しい死神の飼い方優しい死神の飼い方
知念 実希人

光文社 2013-11-16
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カテゴリー的にはミステリー推理小説となるのだろうか。今までにないタイプの本だった。クスッとするような呆け、サスペンスにスリルと、娯楽小説としてありとあらゆるエッセンスが織り込まれている。

ストーリーは、現世に未練を残して呪縛霊となる魂を救うべく、犬に乗り移った死に神が末期病棟で飼われることとなるところから始まる。未練が残った末期患者達の夢へ潜り込んで解決していくのだが、世代が違う患者らと病院がある共通点で繋がっていく。やがて病院の大勢が殺されることが判明、死神は自分の世界のルールを無視して彼らを救おうとするのだが。。。

舞台は末期患者の病院、登場する主要人物の大部分が、近い将来の死を運命づけられている。中にはこの人もかと、驚くような人物もいるのだが、不思議と読後感は清々としている。著者は現役のお医者さんというのも含めて、異色な1冊。
アジアを救った近代日本史講義 (PHP新書)アジアを救った近代日本史講義 (PHP新書)
渡辺 利夫

PHP研究所 2013-12-14
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拓殖大学総長・渡辺氏が、学生に行った講義をまとめた1冊。アジアを侵略した犯罪者という中国・韓国による批判や、朝日新聞のように捏造記事で日本を貶めようとする声が目立ち、自虐的な評価が目立つ近代の日本史。本書は客観的・肯定的に捉える。

小生が理解した、著者の主張は3つ。即ち、欧米に対する猛追と勤勉により日本はアジアで唯一、列強の植民地にならなかったこと。そしてアジアへの進出は、弱肉強食であった帝国主義の当時において、日本の行いは批判をうけることではなく(日本が進出しなければ他の国が進出していた)、むしろインフラ整備など現地の発展に貢献したこと。最後に、東京裁判は、それまでの国際法では合法だった行為を罰した、法の不遡及の原則から逸脱していたこと。

太平洋戦争は、アジアを救ったという大東亜戦争でもなければ、一方で日本の侵略戦争だったというのも正しくない。本書は前者に偏りすぎているが、少なくとも日本の歴史を不必要に卑下していたら、必読の一冊。
遊ぶ奴ほどよくデキる (小学館文庫)遊ぶ奴ほどよくデキる (小学館文庫)
大前 研一

小学館 2008-11-07
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人生を楽しむべきという大前研一氏のメッセージが伝わってくる1冊。クルーザー別荘、書斎などわくわくするようなネタから、散策やグルメ旅行など身近な話も多い。また、子育て論や家族について書かれており、オフ論としてビジネスマン(特に、仕事一筋になりがちな40代以降?)必読の1冊

小生自身、会社(仕事)一筋の人生を送っていないので、そのような人生を送っていると退職後に空しい時間を過ごすことになるといった危機感はまったくピンとこない。ので、共感や興味をもったポイントを備忘録がてら記す。

・仕事の利害関係の無い人と”パブ型”で飲もう。(P.155~)
・「隠れ家」を2軒持てば人生が豊かになる(P.165~)
ちょっと大人っぽい、外飲みの方法。最も、前者のパブは、日本ではパブリックビューイングなどイベントでもないと発展しないように感じたが。

・学習机というコンセプトの商品は、じつは日本にしかない。(P.189~)
雑誌「プレジデント ファミリー」でも提唱されていたが、子供の勉強はダイニングでやることを提唱する。日本では子供部屋と学習机が入学時に用意されることが多いが、これは固定観念的と感じていたので、非常に共感した。

・テレビを見ながらの食事が家庭を崩壊させる!(P.190~)
崩壊とは大げさな気もするが、団欒の場で一同が黙々とテレビを見て食事しているところは多いが、これは非常に奇妙に感じる。最も、最近は食事中のスマホも同列になるだろう---子供の食事中に、つい手に取ってしまうことがあるので自戒の意味を込めて。