2014年6月 Archives

英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?~就職活動、仕事選び、強みを作る処方箋英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?~就職活動、仕事選び、強みを作る処方箋
大石哲之

tyk publishing 2013-09-30
売り上げランキング : 10487

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

煽るようなタイトルだが、中身は就活について深い考察を記す、至ってまっとうな1冊。

会社名こそ変われど、安定やネームバリューを求め大企業に殺到するのは今も昔も変わらず。30年後を考えそれが本当にベストなのか、そもそも人生を一企業に預ける時代ではなくなったことから、タイトルにあるとおりスキルのない、所謂体育会系の文系は求められなくなっている。では、そうした人達はどうすればいいのか?そのヒントが、この本の内容にある。

ただし、著者も言うとおり、答えそのものを求めている人には適さない。海外就職などの例も提示するが、それらはあくまでも例の1つであって、その通りにやっても多くの人が悲惨な結果に終わるだろう。しかしながら、まずは英語力を短期間であげ、その方法については提示している。あとは世界を見つめ、考え、行動してするのは本人である。繰り返しになるが、きっかけとしてのヒントは満載。
自分をみつめる禅問答 (角川ソフィア文庫)自分をみつめる禅問答 (角川ソフィア文庫)
南 直哉

角川学芸出版 2011-12-22
売り上げランキング : 59695

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

禅僧と一般人の対話、所謂「禅問答」を通して仏教(禅宗)の教えを解説する。

"仏教は教え自体が「問い」でもある”(P.236)とあるとおり、禅僧の一方向の教義だけではなく、読む者に考えることを求める。時には禅僧と一般人の立場が代わっているようにも見え、気付けば対話の中に入り込んでいるような錯覚を覚える。

読み解くと、いかに個を他との関係から見つめるかという、アドラーと同じ考えに落ち着く。
・自分が自分ではない何かとの関係から作られることを「縁起」という、仏教の最重要教説だ。(P.146)
・自分ではない何かを「非己」と呼び、「非己」を受容して関係を編み出していく運動様式こそが「自己」なのだ(P.147)
ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)
池井戸 潤

講談社 2014-03-14
売り上げランキング : 232

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

タイトルの「ルーズヴェルト・ゲーム」とは、野球好きのルーズヴェルト大統領が最も面白いと言ったスコア「8対7」の試合から来ているという。

物語は大きく分けて、業績不振にあえぎ敵対買収の危機に陥った中堅エレクトロニクス企業と、その企業の野球部の2本に分かれる。ピンチが複数あり、一癖も二癖もある登場人物ばかり、どんでん返しのどんでん返し・・・池井戸潤氏のお得意の流れはここも健在。

おもしろい。のだが、何か物足りない。半沢があまりに傑作だったからか、池井戸潤氏の展開に慣れてしまったのか、なんにせよ興奮が今ひとつだった。特に野球というルールが明確な土俵では、池井戸氏の十八番である”化かし合い”が出せないと感じた。
10年後の仕事のカタチ10のヒント シリコンバレーと、アジア新興国から考える、僕達の仕事のゆくえ10年後の仕事のカタチ10のヒント シリコンバレーと、アジア新興国から考える、僕達の仕事のゆくえ
松井博 大石哲之

tyk publishing 2014-01-05
売り上げランキング : 1690

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アップル本社で働いていた松本氏と、アクセンチュアを経てベトナムでフリーで働く大石氏の2人による対談形式でグローバルの仕事状況、そして近未来の働き方を予測し、如何に備えるべきかヒントを与えてくれる。

経験・知見豊富な両氏だけあり、話のテンポ・切れよく、Kindle本としてページ数(と言うのが適切かはさておき)もコンパクトなためさらっと読める。
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
山口 周

東洋経済新報社 2012-10-19
売り上げランキング : 1161

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

プレゼンのスライド、所謂PowerPoint作成に必要な知識を、1スライド・1メッセージといった基礎的なお作法から、情報の取捨選択基準となるフレームワークなどコンサルらしいレベルまで学べる。最後には実際に改善案を検討する問題が収録されていて、(多くの人がそうであろう)読んでわかった気になるだけでなく、実際に使えるように頭を使うところまであるのが良い。

とても残念だったのが、Kindle版だけかわからないが、誤植が散見された。
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)
ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)原田 曜平

幻冬舎 2014-01-30
売り上げランキング : 2945


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

草食化した現代のヤンキー(もはやヤンキーという言葉を使うのが適切かという疑問もあるのだが)、マイルドヤンキーの生態を追った1冊。著者によると、マイルドヤンキーは地元という狭い範囲で生活し、自己顕示欲よりも仲間と楽しく過ごすことを重視し、欲はないがそこそこ裕福だったり、貧しくても悲壮感はないという特徴を持っているという。彼・彼女らはミニバンを望みつつも軽自動車が多く、イオンが娯楽・ショッピングの中心、そして遠出らしい遠出としてディズニーランドというパターン化した中で消費を繰り返す。そして最後は、著者の専門分野らしく、そんなマイルドヤンキーをターゲットにしたマーケティングが世の中欠落していることを指摘、具体的なアイデアを出す。

新たな切り口やマイルドヤンキー向けビジネスの提言など面白いのだが、統計的な情報がないため母数が不明、提言されるアイデアのロジックが不明確でJust ideaの粋を出ないなど、若干、消化不良だった。
本当にあった 奇跡のサバイバル60本当にあった 奇跡のサバイバル60
タイムズ ナショナル ジオグラフィック

日経ナショナルジオグラフィック社 2013-12-18
売り上げランキング : 56742

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
9.11やハドソン川の奇跡、アポロ13号など有名処から、マイナーながらびっくりするような話まで、サバイバル(登場人物全員が助かるわけではないが)の60話が掲載。どれも写真や事象の発生経過を記した地図と共に2~3ページ程度で1話が構成されており、読みやすい。

グランドキャニオンで1人岩に挟まれ、自らの腕を切り落として生還した青年の話。南太平洋で漂流し、くじ引きで食料となる人を決める逸話など、まさに”事実は小説より奇なり”のオンパレード。地図や写真も想像をかき立て、時間を忘れて読みふけってしまう。

余談ながら、先日読了した「世界の特殊部隊作戦史1970-2011」に出ていたシールズによる海賊からマークス・アラバマ号の奪還作戦についても掲載していた。本との出会いは一期一会というが、こういう奇遇・偶然が面白い。
罫線売買航海術―スキャルピングからポジショントレードまでの攻略テクニック (ウィザードブックシリーズ)罫線売買航海術―スキャルピングからポジショントレードまでの攻略テクニック (ウィザードブックシリーズ)
オリバー・ベレス ポール・ラング 関本博英

パンローリング 2008-06-13
売り上げランキング : 97776

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

チャートパターン、テクニカル分析から心理面まで、普遍的なトレーディング・スキルが詰まっているのだが、、、残念ながら時間なく熟読できず、詳細な批評できず。
過去の例(USのStockだが)を多数掲載・分析していて、有用なのは間違いない。時間あれば再読したい。
アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)
岸見 一郎

日本放送出版協会 2010-04
売り上げランキング : 140773

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アドラー心理学を、彼の生い立ちや置かれた環境とともに解説する。「嫌われる勇気」の後だと、単に個人主義というよりも、むしろ他者との関わり合い、アドラーの言葉で言うところの”共同体感覚”に重きを置かれていると感じる。

アドラーの著作から引用するところが多いのだが、「子どもの教育」の多用からもわかる通り、アドラーが子どもに対する教育に深い考察をもっていた点も興味深い。
例えば、兄弟順位による個性の違いの解説や、叱ることや褒めることの弊害と勇気づけの必要性は、疑問点はあるものの、納得したり、斬新だった

また、「嫌われる勇気」では他者の評価を気にしない、他者の問題を解決しないという個の重要性を感じてすっきりした分、こちらでは無償の愛的な奉仕が強調され、矛盾と感じる両者の融合に頭を使わされる。

もっとも、個の置き方や他者との関わり合い、人生を考える上で、本書は適切な1冊であることに変わりはない。
靖国史観―幕末維新という深淵 (ちくま新書)靖国史観―幕末維新という深淵 (ちくま新書)
小島 毅

筑摩書房 2007-04
売り上げランキング : 146486

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

靖国の何が問題か。本書を読むと・・・やはりわからない、というのが正直なところ。そもそも賛成派・反対派で論点がずれているのだが、存在そのものが矛盾しており、天皇の私社の粋を出ないので、少なくとも国家の元首が参拝するのは説得力ないと感じる。

「国体(国体)」という思想、「英霊」という概念、そして「維新」という史実と中心に靖国を解説するが、本書でも言うとおり、靖国は矛盾であるという結論に変わりなかった。「維新」という名のテロリストを奉り、以後は勝てば官軍として強者の施設であった。が、太平洋戦争で負けたが、そこで位置づけが変わっている。
戦略思考トレーニング (日経文庫)戦略思考トレーニング (日経文庫)
鈴木 貴博

日本経済新聞出版社 2014-04-16
売り上げランキング : 1157

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

今昔東西のビジネスアイデアを50問掲載する。”戦略思考”というが、問→解答で簡潔に書かれているので、でケーススタディとしてではなく、豆知識としても面白い。
※以下、ネタバレあり

掲載されている内容は、有名な内容も多く、人によっては”思考”までいかないものも多いだろう。
E.g.
・問16:CDが売れない時代になぜAKB48は大量のCDが売れるのか→握手券や投票券があるため
・問22:リコール費用よりも事故の損害賠償の方が安くすむのでリコールしなかった企業→懲罰的賠償金)。

一方、答えを知らない問題は、いろいろ考えさせられ、面白かった。
E.g.
・問3:2階建て新幹線で、1階はコンクリート壁のため外の景色が見られない不公平の解決策→2Fはリクライニングできなくすることで、観光客とビジネス客の住み分けができる
・問28:グルメガイドのミシュランは南フランスに高評価が多い→ドライブを増やし、タイヤを消耗させるため
・コラムP.79:アメリカのアウトレットはダウンタウンから60分の距離にある→GUCCIやアルマーニを買う本来の顧客層は高所得者で1時間に$100稼ぐので、往復の機会損失は$200となり、既存顧客を奪わない