2014年3月 Archives

世界を変えた100日世界を変えた100日
ニック ヤップ

日経ナショナルジオグラフィック社 2008-10-23
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リンカーン、ライト兄弟の初飛行、タイタニック、リンドバーグ、真珠湾攻撃、広島原爆、ケネディ大統領暗殺、アポロ11号月面着陸、チェルノブイリ原発、9.11、スマトラ沖大地震、等々、150年の歴史を写真で綴る。流れとしての歴史の中に、写真でこそ表現できるその瞬間・瞬間に心奪われる。下手な解説を読むよりも、遥かに強いメッセージ、あるいは想像力が働かされる。
「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか「空気」の構造: 日本人はなぜ決められないのか
池田 信夫

白水社 2013-05-24
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法的根拠がないまま”お願い”という形で全国の原発が停止する日本は法治国家ではない。そもそも日本人は宗教に関しても、日本由来の神道(これを宗教というのかは別として)も、他の宗教と異なり教典や法典といった明文化されていないのは、世界では極めて珍しい。本書は、なぜ日本人が明文化されていない、空気で物事を決めるのかという点について考察する。

著者によると、日本は村という土地に縛られてきて、暗黙の協調という文化で形成されてきたという。ここまでは一般的に言われることだが、農業の用水管理のようにボトムアップの構造を図示しているのはわかりやすい。また、具体例を挙げているが、例えば史実で大東亜戦争は一般的に軍部の暴走と言われるが、朝日新聞をはじめとしたマスコミの煽動と国民の空気が動かしたという論調な新鮮だった。まさに、今の原発問題にも近似していると言えよう。

日本が法治国家にないということをまじまじと考えさせられる。良書。
読書脳 ぼくの深読み300冊の記録読書脳 ぼくの深読み300冊の記録
立花 隆

文藝春秋 2013-12-09
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立花 隆氏の書評本は初めて読んだが、本の選択眼にただただ唸らされる。政治、時事、歴史、経済、事件、エロス、対象とする本の分野も半端ない。気付けば、amazonのカートが何冊も増えている。。。

石田英敬(東大図書館副館長)との対談も面白い。電子書籍など新たな技術に対して、本は、図書館はどうあるべきか、なるか。バーチャル図書館、ソーシャルリーディングなどなど、その先見性と想像力に唸らされる。

読書好きならいろんな意味で興奮を覚える1冊。
アラスカ物語 (新潮文庫)アラスカ物語 (新潮文庫)
新田 次郎

新潮社 1980-11-27
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30年以上も前の本でありながら、まったく古さを感じさせない。その面白さに、時間を忘れ読みふけってしまった。一言で言うと、日本人が主人公のダンスウィズウルブス[アラスカ編]と言ったところか(一言じゃない・・・)。

十五歳で日本を脱出したフランク安田は、キャビンボーイとしてアメリカ沿岸警備隊のベアー号に乗っていた。物語はベアー号が北極圏で氷に阻まれ身動きが取れなくなり、食糧危機が起こったところから始まる。差別からあらぬ疑いをかけられたフランク安田1人、150マイル離れたポイントバローの町へ歩いて向かう。

九死に一生を得てたどり着いたフランクは、ベアー号に戻らずポイントバローに残ることにした。やがて現地の人々の信頼を得ていき、エスキモーと結婚する。白人の鯨乱獲や疫病の持ち込みで絶滅の危機にあったエスキモーのために、ゴールドラッシュにあったアラスカで金脈と新たな地を求めて冒険に出る。

金脈の発見や、新たな居住地でのインディアンとの交渉など、まさに事実は小説より奇なりを示す物語。話は、晩年まで続き、第二次大戦で日系人として無実でありながら拘束されたり、あるいは周りに親切すぎて自身には残らず家族からは不満募らせられたり、物語としての面白さとともに、人の一生とは何か考えさせられる。

※エスキモーとイヌイットについて
日本では、カナダの主張に従って生肉を食べるという意味から「エスキモー」は差別用語という認識になり「イヌイット」を使用しているが、以下の理由から、私は敢えて「エスキモー」を使うべきと考える。
・「エスキモー」は北極圏・高緯度に住む原住民を指す単語であるのに対し、「イヌイット」はカナダを中心とした一民族 に過ぎない。アラスカやシベリアなどに住むイヌアピトやユーピクをひっくるめてイヌイットと呼ぶのはおかしい。
・アラスカなどでは「エスキモー」という言葉に誇りを持って使用している。
7日で身につく 正しい文章の書き方7日で身につく 正しい文章の書き方
高橋 廣敏

総合法令出版 2013-05-21
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日本語の使い方を非常に分かりやすく解説している。代々木ゼミナールの人気トップ講師と言うのも納得。

「てにをは」や句読点など基本的なことから、細かい助詞の使い分けを具体的に、イメージとともに示す。例えば「ので」と「から」の違い

・「ので」は客観的な因果関係
 例:液状化しているので、ここの地区は危険だ。

・「から」は主観的な因果関係
 例:料理が美味しいから、その店に通っている。



や「で」と「に」の違いなど、普段何気なく使いがちな言葉の使い方を考えさせられる。

・「で」は期限
 例:図書館は20時で閉館です。(20時まで開いている)

・「に」は時点
 例:図書館は20時に閉館です。(20時丁度に閉まる)

論文や企画書の他、ブログやSNSなど、活用先は幅広い。
ハーバード流交渉術ハーバード流交渉術
ロジャー フィッシャー ブルース パットン ウィリアム ユーリー Roger Fisher

阪急コミュニケーションズ 1998-03
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交渉というゲームを研究結果から理論構築した1冊。単に理論だけではなく、1978年キャンプデービッドでの中東和平や、1981年イラン人質奪還作戦などでも適用されていることから、経営学等で習得コースになっているのも納得する。

人と問題を切り離す、立場でなく利害に注目するといった原理原則から、相手のパターンや出方に応じた戦術など、人間関係に絡む全ての活動に有益である。こうした理論武装したアメリカに対し、空気や感情・立場で交渉をしていた日本が、1980年代の貿易摩擦などでいいようにされたのも頷ける。

名著ではあるが、如何せん、古いのが気になる。一応”新版”とあるが、今では”BATNA”として有名な単語を”不調時対策案”と訳されていて、一瞬、理解が進まなかった。