本日の1冊: シャイロックの子供たち

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シャイロックの子供たち (文春文庫)シャイロックの子供たち (文春文庫)
池井戸 潤

文藝春秋 2008-11-07
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結論から言うと、池井戸 潤氏の著作としては、少し異質な感じがするストーリーだった。同氏の本のストーリーは、半沢直樹シリーズのように明確な主人公を中心にしたものと、複数の人物・小話が展開し、それらがだんだん絡み合って1つのストーリーを構成するパターンに分かれ、本書は後述のパターンにあたる。このパターンは、1つ1つの話が、どのように繋がるのか想像するのが楽しかったりする。

本書に出てくる人物にヒーローはいない。皆何かしらの欠点を持っているし、良い点もある。そうしたどこにでもありそうな中、最初は小さな、そしてそれがだんだんと大きな犯罪に連鎖していく様は、怖くもある。皆”普通”に暮らし、努力しているのだが、どこかで踏み外しそうに、あるいは踏み外してしまう。

いままでの同氏の著作は、比較的、ハッピーエンドになる読了感の良いものが多かったのだが、本書は普通とは何か、何が幸せか、何を努力すべきか、考えさせられる。


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