本日の1冊: イノベーションとは何か

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イノベーションとは何かイノベーションとは何か
池田 信夫

東洋経済新報社 2011-09-29
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先日の「未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II」がイノベーションのミクロの部分についてポジティブに解説していたが、こちらはマクロの観点でネガティブに論じている。
主たる主張は「はじめに」で列挙されており、具体的には以下の通りである。

1.技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2.イノベーションは新しいフレーミングである
3.成功の法則はないが、失敗の法則はある
4.勝つのは安くてよい商品とは限らない
5.「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
6.オーナー企業が有利である
7.知的財産権はイノベーションを阻害する
8.銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9.政府はイノベーションを生み出さず、阻害する効果が大きい
10.過剰なコンセンサスを断ち切ることは重要


思い当たる節があるものから、意外な論点いろいろあるが、特にピックアップすると7.の著作権関連が興味深い。先進国では著作権を侵害する行為は犯罪という認識が強く、考慮しない中国を無法状態と考える。しかしながら、その結果、スマートTVといった新しい製品が中国で活発なのも事実(http://diamond.jp/articles/-/42605)。

本書は冒頭の通り、マクロでネガティブに書かれているので、個々の人が次アクションにつなげることは難しい。しかし、なぜ日本が停滞しているか、なぜ日本でiPhoneを作れないか、論理的に書かれているので、問題を理解するには最適の1冊ではある。

読後メモ:「ヒュームの問題」きのうまで太陽が昇ったことは、あすの朝もそれが昇ることを保証しない。(略)どんなに多くの経験からも、理論を機能するロジックは存在しないのである。(P.19)

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