本日の1冊: 政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)

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政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)
井上 寿一

中央公論新社 2012-11-22
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民主党の政権奪取は、2012年の衆院選の結果を見るまでもなく、失敗というのが大方の見方だろう。改革の是非はともかくとして、今後の日本に二大政党制を予測した論調も目立ったが、二大政党制の本質をついたものは少なかった。本書は、タイトルの通り歴史から二大政党制を考察し、相手の失点が自党の得点になるため政策競争にならない、党利党略になりやすいといった欠点を示唆する。最後に、今回の民主党と自民党の類似点にも言及しており、政権交代時の引き継ぎや日本としての一貫性(少なくとも、過去の歴史を無視した「最低でも(沖縄)県外」といった類の発言を戒める。

政権交代時には、アメリカのように今後の日本も二大政党制に移行することを予測する論調も目立った。果たして、二大政党制を実現しているアメリカと何が違うのか考えてみた。まず、芯となる軸の有無だろうか。アメリカではキリスト教と先進性、自由(小さな政府)と連邦制(大きな政府)といった大きな差異があるのに対し、日本では本質的なところでは変わらない。また、アメリカは政権交代時にはスタッフ共々入れ替わり、その上で国として一貫性は担保できるよう引き継ぎの仕組みがシステムとしてあるのに対し、日本では事情を知らない、あるいはスタッフとなる官僚変わらず、能力的にも彼・彼女らの方が上手だったりするので、いくら政党が変わっても何も変わらないか、混乱を起こすだけなのだろう。

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