本日の1冊: 略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~

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略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~
ジェームス・スキナー

フォレスト出版 2011-12-21
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膨張を続ける医療費など社会保障費と連動する国債の残高。社会保障の見直しせず、イギリスのように規制緩和による経済立て直しを目指すこともしない日本が国債を減らすには、ハイパーインフレ(=借金の実質的な価値を下げる)しかないのでは。インフレ目標を掲げた安倍新政権に対し、そんな疑いを持って本書を手に取った。

序論でうまい話の元祖という逸話が挿入されている。アメリカに渡ったポンジという人が繰り広げた詐欺より、ネズミ講の英語をポンジ・スキーム(Ponzi scheme)という話(P.13)は、中身への興味を十分にそそられた。

しかし、内容の稚拙さというか、論理の飛躍や問題を過度に単純化した内容は、正直読むのが苦痛になる。挙げればきりがないが、いくつかサンプルを示すと以下の通り。
例1:バブルの崩壊が湾岸戦争による海外プロジェクト凍結が原因(P.112)とするが、その頃の海外投資は7兆円程度で日本の経済に影響を与えるほどのものでもない。
例2:サブプライムローン問題の原因はバーゼルⅡによる銀行の資本比率の操作(P.126)としているが、当時のアメリカの地価上昇や移民の増加、世界的な金余りなど、いろいろある要因を無視している。

最終的な解決策が、日本がアメリカの51番目の州になるこというのには(これまた根拠が不十分だが、指摘は割愛する)、下手なSF小説を読んでいるよう。

この本で役に立ったのは、冒頭のポンジ・スキームと、規制によって日本のディズニーランドのウェスタンリバー鉄道はアメリカと異なり駅が1つしかない(2つ作ると国土交通省に申請が届けが必要となり、また営業時間の変更などでもダイヤ変更として届け出がいるとのこと。P.206)の2つの豆知識くらい。

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