一考:週刊朝日の橋本市長記事

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週刊朝日が、橋下氏のDNAを暴くとして特集記事を掲載している。

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彼は今や公人だから、彼の主義・主張に対する異論や反論含めて、彼の性格形成の過去や環境を分析、明らかにするのはわかる。しかし、記事の内容は、彼の人格の根拠として、当人が記憶にない彼の祖父や父のこと、それも彼らが部落出身で、父はやくざだと挙げているとのこと。

ここで、日本で行われていた血縁や出自による差別の知識が如何に自分が不足していたかハッとさせられた。
部落、いわゆるエタ・非人に対する知識は漫画「カムイ伝」+小学校か中学校の歴史でちらっと学んだ程度だった。
しかし、調べてみると結婚・就職などで差別が昭和の時代まで行われており、さらに同和政策が失効する2002年まで政治的な問題でもあったと知る。

と同時に、どれだけ世間一般に知られているのだろうかと疑問に思う。
今回の週刊朝日の表紙(上記、デジタル書籍では消えているが)では、「(橋下をハシモトではなく)ハシシタ」と書いている。これが、エタ・非人が橋の下などに多く住んでいたことから、その人たちを暗示しているとどれだけの人が気付くのだろう(この記事の悪意性にどれだけの人が気付くのだろう)。

さらに、今回の記事に対して、言論の自由を盾に同調する国会議員・記者すらいる。
しかし、彼らは総じて以下の2点で大きな間違いを犯していると思うが、どう考えているのだろう。

・血縁や出自による人格遺伝・形成は科学的に間違っている
・(恥ずべき)差別の歴史や考え方を理解していない

特に後者は、言論の自由の前に、絶対に把握しておくべき前提知識であろう。
例えば、言論の自由などと言ってナチスのユダヤ人迫害の正当性を唱えれば、一発アウトなのは自明ではないか。

面白半分でこうした雑誌が飛ぶように売れ、中には同調・感化される人がいる恐ろしさに、(自分自身も含め)無知の悪害を痛感させられる。

2012/11/24 追記
さすがに反響も大きかったようで、この連載は1回で打ち切りとなった。また、11/30号では、謝罪とともに第三者機関の見解、記事の作者・佐野愼一氏のコメントを10ページにわたり掲載した。

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