本日の1冊: 世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)

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世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)
高田 純

講談社 2002-01-18
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ビキニ環礁のマーシャル諸島やチェルノブイリ、東海村臨界事故(c.f. 「朽ちていった命」)から、カヤーク・プルトニウム製造企業体での核災害、カザフスタン共和国の核実験場付近、シベリアにおける核爆発産業利用など、文字通り世界を飛び回り放射能汚染の実態を計測する。
構成としては最初に放射線とは何か、解説があり、中盤大部分を現地レポートが占め、最後に核災害の防御で終わる。放射線の説明では、内部に取り込んだ放射性物質が半減する生物半減期とう概念も説明されている(例えば、物理半減期のCs-137:セシウム137は生物半減期100日)いる。また、放射能防御では、ヨウ素剤の代わりにルゴールやヨードチンキ、昆布の方法なども掲載。

科学者らしく、いたずらに放射線を怖がるわけではなく(旧ソ連では放射能汚染されたキノコによるディナーがおいしいなていうブラックジョークも)、粛々淡々と分析してあり、放射能汚染の理解が深まる。


福島の事故後、放射能の話題に事欠かないが、だからこそ、それ以前の科学的な知見は非常に参考になる。例えば生物半減期はTVなど一般のメディアでは見たことがないし(遥かに長い物理半減期のみ出して、いたずらに恐怖心を煽っている?)、甲状腺の防御に至ってはルゴールやヨードチンキは控えるよう、昆布を食べても効果が少ないと、放射能障害とのデメリット比較という判断軸がないままアナウンスされたのは記憶に新しい。
不必要に放射能を恐れさせる結果(E.g.東日本大震災:原発事故後に精神科入院、被ばく恐怖「影響」24% 福島県立医大、県内の患者調査 (出典:朝日新聞))もあり、単に放射線の害だけではなく、メリットや過剰な反応によるメリットなど、多面的に物事は考慮したい。脱・原発問題から、話は脱線するが消費税・増税問題など、Yes/Noだけの1元的な問いはそもそも問題ではなく、思考停止を招くだけである。

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