本日の1冊: 坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)

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坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)
坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)司馬 遼太郎

文藝春秋 1999-02
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第七巻では、奉天会戦での辛勝、バルチック艦隊の日本到着までを収録。

奉天会戦では、かろうじてロシア側のミスが日本のそれよりも上回るなどから勝利(と呼べるか微妙だが)となるが、その中でも以下の記述は、大規模組織におけるリーダーシップの拙い対応として、印象深い。

ロシア軍はいたずらに弄命につかれ、さらには軍団のなかの小単位をあちこちひきぬいては予備隊にしたり、救援軍にしたりしたために建制秩序がくずれ、団隊長みずから自分はたれの命令をあおぐべきかどうかということがわからないほどに指揮系統が寸断されたり混乱したりして、組織が大いに弱体化した。(P.114)

その他、最初にバルチック艦隊を発見した日本人として紹介される宮古島の漁師達の逸話も興味深い。かれらは発見した事実を、漁で一仕事終えた後にもかかわらず、電信所がある石垣島まで15時間舟を漕ぎ、上陸地点から八重山郵便局まで30km走り、本島へ
「敵艦見ゆ」(P347)
と発信する。結果、哨戒艦信濃丸の後となり第一報とならなかったが、名もない人々の命がけな行動、さらにその後ずっと誰にも語らず日の目を見なかった点に、当時の日本人の必死な一面を垣間見る気がする。

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