本日の1冊: 犯罪は「この場所」で起こる
門が閉まっていれば入らなかった―大阪小学校内児童殺傷事件の公判で、加害者はこう述べたという。従来、犯罪対策は、犯罪者の人格や劣悪な境遇(家庭・学校・会社など)に犯罪の原因を求め、それを除去しようとすることが中心であった。しかしながら、このような処遇プログラムは結局再犯率を下げることができなった。こうした「原因追及」の呪縛を解き、犯罪の予防に新しい視点を与えるのが、「犯罪機会論」である。<Amazonより>
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犯罪を原因(所謂マスコミなどで報道される、アニメオタク・派遣社員増加による格差等)は一見正しいようでありながら、因果関係が明確ではない。それよりも、犯罪が起こりにくい心理的な場所・仕組みを、という観点でNYの割れ窓理論(必ずしもこれだけで犯罪が減少したわけではない、というのが近年の説のようだが)からロンドンの防犯カメラ社会といった世界の事例紹介を含めて、犯罪の少ない社会はどのように作れば良いかを提起している。結論は、地域(Community)に帰結しているが、その中で興味深い内容は、地域の重要性を再認識した欧米の凶悪案税の犯罪率が増加しなくなったのに対し、日本では相変わらず増加しているという点。海外に「交番」が輸出されたように、かつて日本の専売特許のように言われていた「安全」が、日本を参考にした海外で効果あるのに日本では本書の指摘する視点での議論が少ないように感じた。
最近日本でもメンター制度が普及し始めたが、その語源が古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」に登場する賢者メントールに由来する(P.197)というのは初めて知った。
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